建設現場や工場、倉庫など、重い荷物を扱う職場において、作業員の安全を守ることは企業の義務です。しかし、現場の慣習や「これくらいなら持てる」という個人の感覚で作業が進められ、知らず知らずのうちに法令違反を犯しているケースが少なくありません。その中心にあるのが、労働基準法第64条です。
この法律は、特定の労働者に対して過度な重量物の取り扱いを制限・禁止することで、身体的な負担や危険から保護することを目的としています。特に、女性や年少者(満18歳未満)、妊産婦に対する規制は厳格に定められており、違反した場合は罰則の対象となるだけでなく、企業の社会的信用を失うリスクも伴います。
「重量物」とは具体的に何を指すのか、法律ではどのように定義されているのかを正しく理解することは、現場の安全管理責任者にとって必須の知識です。単に「重いものを持たせない」という精神論ではなく、明確な数値基準や対象者の範囲を把握し、適切な配置と作業計画を立てることが求められます。
【目次】
- ■労働基準法64条が定める「重量物」の正体
- ■男性・女性・年齢別「持っていい重さ」の境界線
- ■法律クリアでも「腰痛」は労災認定される?
- ■人力の限界を超えたら「機械化」か「外注」か
- ■重量物運搬・据付のプロ「株式会社 善興業」の強み
- ■法令遵守と安全施工を両立させる賢い選択
■男性・女性・年齢別「持っていい重さ」の境界線
労働基準法および労働安全衛生法、女性労働基準規則(女性則)、年少者労働基準規則(年少則)では、性別や年齢、身体的状況に応じて取り扱える重量の上限が具体的に定められています。現場で判断に迷わないよう、主要な基準を整理します。
・年少者(満18歳未満)の重量制限
満16歳未満と満16歳以上18歳未満で基準が異なります。成長期にある年少者の身体を保護するため、成人に比べて厳しい制限が設けられています。
- 満16歳未満の男性:断続作業 12kg / 継続作業 8kg
- 満16歳未満の女性:断続作業 12kg / 継続作業 8kg
- 満16歳以上18歳未満の男性:断続作業 30kg / 継続作業 20kg
- 満16歳以上18歳未満の女性:断続作業 25kg / 継続作業 15kg
・女性労働者の重量制限
かつては女性労働基準規則により一律の重量制限がありましたが、法改正により一般的な女性労働者(18歳以上)に対する一律の重量制限は撤廃されました。しかし、母性保護の観点から「妊産婦」に対しては厳格な制限が維持されています。
- 妊産婦(妊娠中または産後1年を経過しない女性):断続作業 30kg / 継続作業 20kg
- 一般の女性労働者(18歳以上):一律の法的禁止制限はなし(ただし、後述する指針により配慮が求められる)
・成人男性の重量制限
成人男性(18歳以上)に関しては、労働基準法上で明確な「〇kg以上は禁止」という罰則付きの規定はありません。しかし、厚生労働省が定める「職場における腰痛予防対策指針」において、推奨される重量の目安が示されています。
- 体重の概ね40%以下
例えば、体重60kgの男性であれば約24kg、体重70kgであれば約28kgが、人力で取り扱う重量の目安となります。これを超える重量物を扱う場合は、2人以上での作業や、台車・機械の使用が強く推奨されます。
■法律クリアでも「腰痛」は労災認定される?
「法律で禁止されていないから大丈夫」「成人男性なら何キロでも持たせて良い」と考えるのは非常に危険です。労働基準法上の数値規制をクリアしていても、作業の実態が過酷であれば、労働災害(労災)のリスクは消えません。特に建設業や運送業において最も多い労働災害の一つが「腰痛」です。
・腰痛予防対策指針の重要性
厚生労働省の「職場における腰痛予防対策指針」では、重量物取り扱い作業において、重量だけでなく、作業姿勢、作業頻度、作業時間なども考慮すべきリスク要因として挙げています。
- 不自然な姿勢(中腰、ひねりなど)での作業
- 寒冷な場所での作業
- 休憩なしの連続作業
これらが重なれば、たとえ軽量な荷物であっても腰への負担は増大し、腰痛を発症する可能性が高まります。
・安全配慮義務違反のリスク
企業には、労働者が安全に働ける環境を整える「安全配慮義務」があります。もし、人力で運ぶには無理がある重量物を、適切な補助具や人員配置なしに運ばせ、結果として従業員が腰痛や怪我を負った場合、企業は安全配慮義務違反を問われる可能性があります。
労災認定されれば、治療費や休業補償の問題だけでなく、労働基準監督署の調査が入ることもあります。また、従業員からの損害賠償請求に発展するケースも珍しくありません。「法律の数字」を守ることは最低ラインであり、現場の実情に合わせた「安全な作業環境」を作ることこそが、企業を守る防波堤となります。
■人力の限界を超えたら「機械化」か「外注」か
法令を遵守し、従業員の健康を守るためには、人力だけに頼らない作業計画が必要です。重量物の運搬において、リスクを回避するための選択肢は大きく分けて「機械化(補助具の活用)」と「専門業者への外注」の2つがあります。
・現場でできる機械化と工夫
日常的に発生する数十キロ程度の荷物であれば、適切な機材を導入することで負担を大幅に軽減できます。
- 台車やハンドリフトの活用:持ち上げる動作を減らし、「押す・引く」動作に変えることで腰への負担を減らします。
- スライダーやコンベアの設置:階段や段差がある場所での運搬を補助します。
- パワーアシストスーツの導入:近年普及が進んでいる装着型の補助器具で、腰への負荷を軽減します。
また、荷物を小分けにして重量を分散させる、作業動線を確保して無理な姿勢での移動を減らすといった「作業手順の見直し」も有効です。
・プロに任せるべき「外注」のライン
一方で、数百キロから数トンに及ぶ工作機械、精密機器、大型設備などは、一般的な台車やハンドリフトでは対応できません。また、重量がそれほどでなくても、搬入経路が狭い、階段作業が必要、段差が多いといった悪条件が重なる場合は、プロに依頼すべきです。
無理に自社スタッフで対応しようとすると、荷物の落下による破損、壁や床の損傷、そして何より重大な人身事故につながる恐れがあります。「餅は餅屋」という言葉通り、特殊な機材とノウハウを持つ重量物運搬の専門業者に任せることが、結果としてコストとリスクを最小限に抑える最善策となります。
■重量物運搬・据付のプロ「株式会社 善興業」の強み
大阪市城東区に本社を構える株式会社 善興業は、機械器具設置工事、各種機械の解体・運搬・据付、産業廃棄物収集運搬を専門とするプロフェッショナル集団です。大阪を中心に全国各地の現場に対応しており、法令遵守と安全第一を徹底した施工でお客様の信頼に応えています。
・最新の電動機材による「安全・確実」な施工
当社では、重量物運搬の常識を変える最新鋭の機材を積極的に導入しています。
- 電動ハンドリフト・電動ローラー:重い荷物もスムーズに移動させ、作業員の負担を軽減するとともに、床面への傷つきリスクも最小限に抑えます。
- 電動フォークリフト:排ガスが出ないため、屋内やクリーンな環境が求められる工場内でも安心して使用可能です。
- アクロバ仕様車:狭い現場や複雑な経路でも柔軟に対応できる特殊車両を活用します。
これらの機材を駆使することで、人力では困難な作業も安全かつスピーディーに完遂します。
・解体から廃棄まで「ワンストップ」で対応
単に運ぶだけでなく、古い機械の解体・撤去から、新しい機械の搬入・据付(設置・取付)、さらには不要になった機器の産業廃棄物収集運搬まで、すべて自社で一貫対応できるのが当社の強みです。複数の業者に手配する手間が省け、スケジュール管理もスムーズになります。「お客様ごとの最善を考えたご提案」をモットーに、現場の状況に合わせた最適なプランを提示します。
■法令遵守と安全施工を両立させる賢い選択
労働基準法64条をはじめとする重量物に関する法規制は、現場で働く人々を守るための重要なルールです。しかし、法律の数値を守るだけでなく、実際の現場環境や作業内容に合わせた安全対策を講じることが、企業の責任として求められています。
無理な人力作業は、従業員の健康被害や事故のリスクを高めるだけでなく、長期的には企業の生産性を下げる要因にもなりかねません。自社で対応できる範囲と、プロに任せるべき範囲を明確に見極め、適切なリソース配分を行うことが、賢い経営判断と言えるでしょう。
株式会社 善興業では、重量物のプロフェッショナルとして、法令を遵守した安全な作業計画をご提案いたします。「この機械、どうやって運ぼうか?」「安全に設置できるか不安だ」といったお悩みがあれば、まずはお気軽にご相談ください。

