重量物搬入とは?重量物の搬入から据付までをプロが紹介

重量物の搬入は、建設現場や、工場・物流倉庫において不可欠な作業です。この作業には多くのリスクが伴います。例えば、人員のケガや物品の損傷などです。この記事では、重量物の搬入について詳しく説明します。また、安全に搬入するために必要な手順や注意点についても解説します。


重量物とは

重量物とは人が手で運べない重さの物を指します。具体的には産業機械や、工作機械、業務用エアコン、キュービクル、発電機等の大型のものをさすことが多いです。重さは数百Kg〜数十tに及ぶ物もあります。


据付工事とは

機械や設備を指定の位置に搬入し設置する工事、それが「据付工事」です。この作業は簡単に見えるかもしれませんが、実際には非常に高い技術力が求められます。

まず、据え付け機械は産業用の大型機械であり、製造設備、空調設備、電気設備などが中心です。これらの機器の重量は通常、数百kgから数十tに及び、人力だけでの運搬は困難になります。 人力では難しい場合はクレーン車やフォークリフトなどを使って機械を上昇させ、指定の位置に移動して設置することが理想的です。

しかし、実際の現場では、重機が進入できない等の狭い場所や段差のある場所、地下などでの作業が必要なケースも多くあります。そのため、特別な工夫が求められ、コロ車を使って人力で引っ張ることや、特殊な道具や設備を維持すること、あるいは機械を一度分解して移動することなどが行われます。

また、機械を置くだけでなく、指定された位置に正確に設置する必要があります。 レイアウト、稼働効率、耐久性などの観点から、ミリ単位の正確さが求められることもあり、微調整のスキルが肝心です。

さらに、重量物を運搬・設置するという作業は、大きな危険を伴います。安全に据付工事を行うためには、綿密な作業計画の策定と適切な搬入方法の選択が必要です。 「据付工事」は技術力と安全意識が要求される、非常に専門的で奥深い作業なのです。


重量物の搬入や据付工事は高度な技術やスキルを必要とする為専門業者に依頼を行うのが一般的になります。据付工事を依頼する際の基本的な流れを確認しておきましょう。


仕事の流れ

問い合わせ

専門業者の情報を調査し、メールや電話、お問い合わせフォームを利用してお問い合わせ

を行います。搬入や据付を行う機械の種類や大きさ等の詳細を伝えましょう


現地調査


作業者は現場を訪れて、機械に合わせて据え付け場所を確認します。以下は現場調査に注意すべきポイントです。

・寸法的に余裕があるか機械を取り付けるスペースが十分に広く、機械の寸法に余裕があることを確認します。


・入口シャッターの高さは十分か

入口シャッターの高さが機械の高さに適しているか確認します。十分な高さが確保されていない場合、機械の搬入が困難となる可能性があります。


・床にひび割れや段差がないか機械を設置する床が均等で、ひび割れや段差がないことを確認します 。


・工場入口前の道路の交通量・道幅はあるか


• 工場へのアクセスを行う道路の交通量と道幅を確認し、機械の輸送に支障があるかどうかを判断します。必要に応じて、交通規制の調整は必要があるかもしれません。機械をクレーン(ユニック)で吊るす場合、周囲に邪魔になる電線や障害物がないか確認します。動作スペースが肝心になります。


・運搬後の据付場所はあるか

機械が十分に収まるかどうかや、実際に加工作業を行う際の機械の視点などを検討します。機械がスペースに収まらない場合、工場のレイアウトの調整が必要となる可能性があります。

さらに、落とし作業に関するチェックポイントがあります。

・天井クレーンを使って吊り下げるのか、

・ウィンチを使って引っ張り込むのか、

・どちらの方法を採用するか検討します。

・これにより、予期せぬ問題や障害物を事前に特定し、作業の中断や遅延を回避するための対策が立てられます。


見積り

現場調査の結果を基に、適切な搬入方法を選定し見積りや工程表を作成し提示します。その後契約という流れになります。

準備

特殊な工具の手配や仮設ステージの設置、そのための強度計算なども必要です。また、道路使用許可や特殊車両通行許可などの申請が必要になる場合もあります。

重量屋のトラックやユニック車へ積み込みを行っていきます。


積み込み

重量機械を輸送する手段として、トラックやユニック車が使用されます。 これらの車両は、大きな機械を運ぶために設計されており、機械のサイズや重量に対応できる特別な仕様になっております。積み込みのタイミングには、通常積み込みと宵積みの2つの主要なパターンが存在します。

まず、宵積みは、搬入時間が早朝から始まる場合に採用されます。この方法は、朝早くからの作業に備えて機械を事前に準備し、効率的なスタートを切るために用いられる事が多いです。

一方、通常積み込みは当日に、積み込みをしてから出発する方法です。機械を運ぶスケジュールに余裕がある場合等に用いられます。


安全かつ正確な工事をしてくれる業者を選択する為にも、基本的な作業の流れを知っておくことが必要になります。搬入から据付までの当日の流れを見ていきましょう。


現場作業



墨出し

まずは床や壁、柱などに設置の基準線を描く「墨出し」を行います。これがすべての基準になるため、図面を見ながら原寸大の設計図を正しく描き出します。


経路養生

搬入作業時に床が損傷しないように、搬入経路の養生を行います。

繊細な機械の場合は機械自体の養生が必要な場合もあります。養生にはプラベニヤや、SUS板を使用し、経路養生を行います。


区画設置

現場での安全な作業を行う為にも、搬入・設置を行う場所に作業区間を設置します。

現場によっては、段差を乗り越える為のスロープ、足場、ステージの設置も行います。


機械搬入・移動

機械の搬入・移動には、ローリフトや電動ローラーが良く使用されます。ローリフトや電動ローラーは重量物の搬入や移動に向いている道具であり、人力では難しい作業を効率的に行える様になります。


据付・レベル出し

機械が据付位置に到着したら、爪付ジャッキや天井クレーンを使用して、機械を下ろす作業が行われます。その際に、水平出し(レベル調整)の作業が行われます。 ボルトがある程度締められた状態で、水平器を使用して、機械の水平度を確認し、微調整を行います。

レベル出しは、機械の水平度を確保するために不可欠なステップです。 なぜなら、機械が水平でない状態で作業を行うと、機械の品質に問題が起きる危険性があるからです。さらに、そのまま水平度が確保されていない機械を稼働させると、機械自体に負荷が不均一にかかり、最悪の場合、機械の故障や事故のリスクが懸念されます。工場内の安全性を確保するために必要な作業と言えます。



試運転

設置した機械の試運転を開始します。ユーザー様に実際に機械を動かしてもらい、その動作を詳細に確認します。この段階で、機械に問題や不具合が発見されることがあります。例えば振動がする、異音がする、動作がスムーズに動かない等です。

試運転中に問題が発見された場合、位置の調整等が必要になります。機械の位置が安定していない場合、位置の再調整が必要です。また、動作に関する問題がある場合、技術者やメンテナンス担当者が必要な修理作業を実施します。

重量据え付け後の試運転は、機械の安全性と効率性を確保するために欠かせない作業になります。問題が発見された場合、それらを早期に解決することで、将来的な事故予防にも繋がります。試運転は細心の注意を払っての実施が必要になります。

据付工事の注意点

据付工事を依頼する際に、必ず確認しておくべき要素の1つが工事にかかる日数です。既設の機械の移設を行う場合は、工事が完了するまで機械を稼働させることが出来ません。機械の新設や入れ替えの際も同様に、据付が完了しなければ試運転が不可能になります。いずれの場合も工場の稼働や生産性に大きな影響を与える為、据付工事を依頼する際には計画的な依頼が必要になります。


機械据付工事にはどの位の日数が必要になるのか?

搬入先や作業内容によって工事にかかる期間は大きく変わってきますが、一般的には数日〜1ヶ月程度かかる場合もあります。足場を組んだり、専用の工具を作ったりする必要がある場合はその分の作業日数が増える傾向があります。

据付工事を選ぶ際の基準として工事をどの位で施工できるのかに加えて、安全に配慮をしている業者を選ぶ事がベストになります。詳しい注意点は次項で解説します。


・安全な移動方法が取られているか

重量物据付の性質上、数百kg〜数百tを搬入・据付を行うので、もし機械が転倒したり落下したりすれば人名や機械にも関わる大事故を引き起こす恐れがあります。その為、安定して重量物を移動できる方法を取る必要があります。

重量物を移動できる方法にはクレーン・フォークリフトによる吊り上げ、台車・人力による運搬があげられます。特にクレーン・フォークリフト、台車は人力よりもはるかに安全な方法と言えるでしょう。ですが、安全作業を行うためには十分なメンテナンスをしてこそ安全性が担保されます。日々機材のメンテナンスやそれに応じて必要な補強作業・足場の設置・専用の道具作成が必要になります。また、メンテナンスと同等に一人一人の安全確認が重要になります。事故を起こさないためにも自分の目で行う確認が何よりも大切でしょう。細心の注意を払い、なおかつ自分だけでなく複数人に安全確認をしてもらう事をおすすめします。

常に安全性を確保し無事故で工事を終わらせることが大切になります。

・基準値に収まるよう取り付けられているか

重量物の据付作業では、設置位置の精度の目安となる「管理基準値」を事前に設定し、

基準値に収まるよう取り付けられているかどうかを確認します。基準値とは、重量物が安全に使用できるように定められた値のことです。

基準値に収まっていないと、重量物が倒れたり落下したりする危険があります。そのため、据付作業を行う際には、必ず基準値を確認するようにしましょう。

また、基準値は、重量物の大きさや重さ、形状によって異なります。そのため、搬入や据付作業を行う際には、それらを必ず理解した上で適切な基準値を設定しましょう。


設備の変形や損傷を防ぐ対応を取っているか

重量物の搬入、据付の際は常に周囲への注意が必要です。搬入途中に少しでも気が緩んで「ぶつけてしまった」、「傷を付けてしまった」という事があれば信用にも繋がりかねません。少しの衝撃が加わっただけで故障するものや、傷・塗装剥がれが起きただけでも耐久性が落ちてしまいます。

このようなトラブルを未然に防ぐためにも先述した対策が重要になります。


まとめ

重量物搬入・運搬はとても繊細さが求められ、安全意識と技術力を常に高く持たなければなりません。少しの不注意が大きなトラブルを起こしかねないため綿密な計画を立て、それの通りに実行しなければなりません。

常に危険が伴い、運搬物の安全も考えなければならないため、実績があり信頼できる業者を探しましょう。その上で現場を確認してもらい適切な計画を建てることが重要になります。

安全管理を徹底し、適切な搬入・運搬を行うことを心掛ける必要があります。


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