【精度は守れる?】工作機械の運搬費用と、失敗しない業者選びの絶対条件

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工場や研究所で使用されるマシニングセンタ、NC旋盤、プレス機などの工作機械は、企業の生産活動を支える心臓部です。工場のレイアウト変更や移転に伴い、これらの機械を移動させる必要が生じた際、最も気をつけるべきは「単に運べば良いわけではない」という点です。


一般的なオフィス家具や什器の引越しとは異なり、工作機械はミクロン単位の精度が求められる精密機器です。わずかな振動や衝撃で軸がズレたり、フレームが歪んだりすれば、移設後に製品の精度が出ない、最悪の場合は故障して動かないといった事態に陥ります。


したがって、工作機械の移動にかかる費用は、単なる「運送代」ではなく、機械の性能を維持したまま場所を移すための「技術料」と捉える必要があります。「安ければどこでもいい」という基準で業者を選んでしまうと、後で修理費や調整費が嵩み、結果として莫大な損失を被ることになりかねません。


【目次】

- ■工作機械の運搬は「引越し」ではない。「移設」である

- ■費用を左右するのは「重さ」だけではない

- ■旋盤・マシニング・プレス機の運搬費用イメージ

- ■「分離発注」vs「一括発注」。どっちが得?

- ■精密機械も安心。レベル出しから試運転まで対応

- ■大切な機械を長く使うための投資と考えよう




■費用を左右するのは「重さ」だけではない

工作機械の運搬費用を見積もる際、重量や距離がベースになることは間違いありませんが、それ以外にも費用を大きく左右する「見えないコスト要因」がいくつも存在します。これらを知っておくことで、見積もりの妥当性を判断しやすくなります。



・付帯作業の有無

機械を運ぶ前には、切削油や作動油の抜き取り、配管・配線の取り外し、可動部の固定(ロック)といった準備作業が必要です。また、設置後にはレベル出し(水平調整)、芯出し、アンカー固定、電気の接続、試運転といった復旧作業が待っています。これらを自社で行うのか、業者に依頼するのかで費用は大きく変わります。



・搬出入経路の難易度

「トラックを横付けしてクレーンで吊るだけ」なら安く済みますが、工場内の狭い通路をハンドリフトで移動させたり、段差を越えたり、あるいは建物の開口部が狭くて壁の一部を解体・復旧する必要がある場合は、特殊な機材と人員が必要になり、費用が加算されます。



・振動対策(エアサス車)

精密な電子制御部品を持つNC工作機械などは、輸送中の路面振動を嫌います。そのため、一般的なトラックではなく、衝撃を吸収するエアサスペンションを搭載した「エアサス車」を指定する必要があります。通常車両に比べてチャーター費用は割高になりますが、故障リスクを考えれば必須の投資と言えます。




■旋盤・マシニング・プレス機の運搬費用イメージ

工作機械の種類によって、運搬の難易度や必要な機材が異なるため、費用相場も変わってきます。ここでは代表的な機械ごとの傾向と費用のイメージ(近距離移設の場合)を解説します。



・汎用旋盤・フライス盤(小型〜中型)

【目安:数万円〜15万円程度】

重量が1〜2トン程度で、構造が比較的単純な汎用機であれば、ユニック車1台で対応できるケースが多く、費用は抑えられます。ただし、重心が高く転倒しやすい形状のものは、慎重な玉掛け作業が求められます。



・マシニングセンタ・NC旋盤

【目安:10万円〜50万円程度】

重量があるだけでなく、制御盤やカバーで覆われているため、吊り上げには専用の治具や天秤棒が必要になることがあります。また、輸送にはエアサス車が必須となるケースが多く、設置後のレベル出しにも高い精度が求められるため、技術料が含まれます。



・プレス機・大型産業機械

【目安:30万円〜数百万円】

数十トンクラスのプレス機になると、そのままでは運べないため、ヘッド、コラム、ベッドなどを分解して輸送し、現地で再度組み立てる「解体・組立工事」が必要になります。大型クレーンの手配や、数日間にわたる作業期間が必要となるため、費用は高額になります。また、ピット(基礎穴)への設置作業が伴う場合は、さらに難易度が上がります。




■「分離発注」vs「一括発注」。どっちが得?

工作機械の移設には、運搬以外にも電気工事、配管工事、解体・組立など、多岐にわたる作業が付随します。これらをどのように発注するかで、トータルの費用と担当者の負担は大きく変わります。



・分離発注の落とし穴

「運ぶのは運送会社」「電気は電気工事店」「据付はメーカー」といったように、工程ごとに専門業者へ個別に発注する方法です。一見、それぞれの最安値を選べるように思えますが、実際には以下のようなデメリットが生じがちです。


- スケジュール調整の手間:各業者の空き状況を確認し、当日の作業順序を調整するのは大変な労力です。「電気工事が終わっていないから機械を動かせない」といった待機時間が発生すれば、追加料金を請求されることもあります。

- 責任の所在が不明確:万が一、機械が動かなくなった場合、「運搬時の振動が原因だ」「いや、配線の接続ミスだ」と責任の押し付け合いになるリスクがあります。

- トータルコストの増大:各業者がそれぞれに諸経費(出張費や管理費)を計上するため、合算すると割高になるケースが少なくありません。



・一括発注(ワンストップ対応)のメリット

機械の解体から運搬、電気工事、据付までをまとめて請け負える業者に依頼する方法です。窓口が一本化されるため、打ち合わせやスケジュール管理が非常にスムーズになります。また、作業員同士の連携が取れているため、無駄な待ち時間がなく、効率的に作業が進みます。結果として、工期短縮とトータルコストの削減につながる場合が多いのです。




■精密機械も安心。レベル出しから試運転まで対応

大阪市城東区の株式会社 善興業は、単なる運送業者ではなく、「機械器具設置工事業」の建設業許可を持つプロフェッショナルです。工作機械の特性を熟知しており、運搬だけでなく、精度維持に不可欠な付帯作業まで一貫して対応できる点が大きな強みです。



・ミクロン単位の「レベル出し」技術

工作機械の性能を最大限に発揮させるためには、設置時の水平出し(レベル出し)が命です。当社では、精密水準器を使用し、機械ごとの許容値に収まるよう、アンカーボルトやライナー(調整板)を用いて微調整を行います。ただ置くだけの作業とは一線を画す、職人の技術を提供します。



・電気・配管工事も自社対応

機械を動かすために必要な一次側電源の接続や、エアー配管の接続なども、協力会社との連携によりワンストップで対応可能です。移設後すぐに稼働できる状態まで仕上げるため、お客様は生産計画への影響を最小限に抑えることができます。



・不要な機械の買取・廃棄も

入れ替えに伴って不要になった古い工作機械の買取や、産業廃棄物としての適正処理も承ります。マニフェストの発行も確実に行いますので、コンプライアンス面でも安心してお任せいただけます。


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■大切な機械を長く使うための投資と考えよう

工作機械の運搬費用は、決して安い金額ではありません。しかし、その費用を惜しんで質の低い業者に依頼し、機械の精度を損なってしまっては本末転倒です。機械の寿命を縮めず、移設後も安定して高品質な製品を作り続けるためには、確かな技術と実績を持つ業者を選ぶことが、結果として最も賢い投資となります。


「見積もりの内訳がよくわからない」「他社では断られた難しい搬入条件がある」といった場合でも、まずはご相談ください。株式会社 善興業が、お客様の大切な資産である工作機械を、安全・確実に目的地までお届けします。


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